【宅建ダ】神田神保町の古書店街で、「方丈記」と「徒然草」がいっしょの古書を発見

宅建ダイナマイト的に、おすすめ図書としては「方丈記」を。
あと、某女子は、あぁ見えて、「徒然草」が好きだったり。
そんなこんなで、手前の文庫本は手元にあって、「マンガ日本の古典・徒然草」のほうは某女子からの借り物なんだけど、方丈記はともかく、徒然草の原典をあらためて読んでみたいなと思ったりしていたものの、そんなことはすっかり忘れて、まったくほんとにぜんぜん別件で、新企画の資料探しに神田神保町の古本屋街をぶらぶらしたら、「あー、方丈記と徒然草がセットになってるぅ〜」という古書を発見。
たまたまなんですけどね。
300円だったので買う。
方丈記はね、ご存知の方も多いと思いますけど、考えてみればまったく今どきの、最先端も最先端ともいえる、ある意味、テレワークやノマドを推し進めた究極のライフスタイルの提案ですもんね。
不動産の付き合い方の究極的なアイデア。
いまでいうところのトレーラーハウスとかキャンピングカーとか。いうなれば、土地に定着しない住宅の提案。住宅というと不動産っぽくなっちゃうから、そうだな、単なる住処とでもいおうか。
住みたい街を探して、気に入ったら軽いノリで住み始める。土地や人間関係に縛られず、遊牧民的な生活スタイル。まさに人生は旅だ、みたいな。
・・・と、そんなことを、いまから800 年以上も前に、鴨長明さんは「方丈記」に記してあるのですね。
鴨長明さんは都の生活に見切りをつけ、京都の山中に方丈(約3メートル四方)の広さの、移動可能な建物を建てて、そこに移り住んだのでありました。
【方丈記とは】
かの有名な「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみ浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、ひさしくとどまりたる例なし。世の中にある人と栖(すみか)と、またかくのごとし」ではじまる。
「うたかた」とは泡のことで、「川の流れは絶え間ないけど、おんなじ水じゃないもんね。水面に浮かぶ泡も消えて生じて、一瞬たりともとどまっていないしね。これってさ、世の中の人と住まいも、じつはおんなじなんだよねー」と言ってます。
そんな方丈記、いろんな読み方ができまして、たとえば災害文学。平安末期から鎌倉初期にかけて、地震だ竜巻だ大火災だと、ものすごい天変地変が京を襲う。それから挫折文学。じつは鴨長明さん、たいへんなお坊ちゃまだったんだけど、平安末期の乱世に翻弄され、人間関係に疲れ果てる。
それから「人と住まい」について。災いの多い都にわざわざ大金をかけて立派な住まいを作り、そのために要らぬ心配に心をすり減らすバカバカしさ。「財(たから)あれば、おそれ多く」と長明さんは記しています。
そこで都から離れて方丈建築。「所を思ひ定めざるがゆえに、地を占めて、造らず」。どこに住むと思い定めて住みたいわけではないから、土地を買ってそこに家を建てるなんてことはしない。
そして簡単に他所へ移動できるように造ってある。「もし、心にかなわぬ事があらば、やすく他に移さんがためなり」。そこでなにかうっとおしいことがあったら、さっさと他所へ行っちゃうもんねー。
……というノリで、小さくて狭い家にあえて住むことのシアワセを長明さんは説く。所有物として大事にする必要がないからこそ、災害を心配することもなく、なにしろ安価なのでいつ捨ててもかまわない。そんな生き方もあるよ〜、との提案。
で、徒然草の「第7段」も、無常観がいいよね的な話ですね。
無常であるから味がある。
世はさだめなきこそ、いみじけれ。