【法改正】老朽マンション。住民も老いる。マンションも老いる。その先。

令和6年1月14日(日)の産経新聞(16面)に『イマサラQ&A』というコーナーがあって、テーマは以下。
今月のテーマ:マンション管理
「分譲は誰が管理するの?」
雑なタイトルですみません、とワタクシがお詫びする筋合いではないですが
「分譲マンションは誰が管理するの?」
ですよね。
目次 1. どうしても他人任せ 2. 区分所有法(建物の区分所有等に関する法律) 3. そんな区分所有法が改正される

どうしても他人任せ

意外とですね、「管理会社」と答える人が多いんですよ。
笑っちゃうでしょ。
あ、すみません、管理会社だと思っちゃいましたか。
では、せっかくですから基本的なところから。
問題です。
Q:賃貸マンションは誰が管理するの?
貸主です。ピンポン
Q:分譲マンションは誰が管理するの?
売主です。ブブー
管理会社です。ブブー
正解は自分たち。
だって自分たちが買ったんでしょ。
所有者(分譲マンションのときは区分所有者といいます)は自分たちだもんね。
自分のお家の管理(修理とか)は誰がするんですか?
町内会の人たちや役所がやってくれるんでしょうか。
やってくれませんよね。
だって、自分の所有物なんですからね。
分譲マンションの管理は区分所有者で構成する管理組合にて。
じゃあ管理会社さんはなにか。
そう。
自分たちが「管理してね」と委託(発注)している相手方なんですね。
なので管理会社のみなさんは受託者で、契約した範囲での仕事となる。
つまり、管理の主体(責任者)は、マンションの購入者たちということになる。
・・・というようなことが、産経新聞の記事に書いてあった。
なるほどたしかに。
イマサラですよね。

区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)

で、分譲マンションのこういった権利義務関係については区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)というがありまして、もちろん宅建試験でも毎年1問【問13】で出題されます。
そりゃそうですよね。
不動産取引という局面において、現実問題、分譲マンションを避けて通るわけにもいかないですしね。
宅建士の法定職務でもある重要事項説明にも、深く関連してきます。
上述のとおり、分譲マンションを買ったら、マンションの管理組合の組合員になる。
自分たちのマンションは、自分たち管理組合が“管理”する。
責任は重大だ。
よし、しっかり管理しよう、と誰も思わないのが分譲マンションのある意味すごいところだ。都内の新築なんかだとみなさん1億円近く(以上の場合もありますが)支払うのにね。
しかし、どうしても管理は他人任せだ。
なぜだろう。
ワタクシもね、かつてはマンション管理士で、そんで某大手専門学校でマンション管理士受験講座も担当してましてね。受講生のみなさんも、もちろん一般の人たちよりはマンション管理に関心がある方々なんだけど、どうもそのあたりのモヤモヤがあるみたいで、しょっちゅう話題にしてました。
なかには「なんでですか?」と質問してくる方もいて、なので「それが人間の業だ」と答えたりしていました。「集団責任は無責任」というやつっすね。
一方、そんな分譲マンションの住民側と対峙する形になるマンション管理会社の面々とも交流があって、いま思い出したんだけど、そういえばこんなやりとりをした。
もう何年か前ですけど、大型台風がきて某所が水浸しになったときの話です。そこに立地していた某マンションの電気系統が“水没”し、エレベーターが使えなくなった。たぶん、水まわりとかもダメだったのかな。
いずれにしても“電気系統”が生きてないかぎり、とくにタワーだと巨大古墳ピラミッドみたいなもんで、上がるも下がるもたいへんだ。どうにもならない。
・・・と、そんなニュースをテレビで見ていたら、住民とおぼしき方が「困りますほんとに。直してもらうまで実家に戻ります」というようなことをインタビューアーに答えていた。
それを見ていたワタクシは、うっかりのんきに「そうだよなぁー。たいへんだもんなぁー」と思ったのが、ちょっと待ったー。
おい、アンタ、所有者だよな。
戸建てで考えてみれば「とても変なことを言っている」ということがおわかりですよね。「自分の家が壊れたので、誰かが直してくれるまで実家に戻ります」と言っているのだ。無責任たるやすごい。
・・・というようなことを、マンション管理会社の面々と飲み会(たしか高級ワイン会だったな)をやっていたときに話題となったので、「もちろん君たち受託者側は、この責任者たる区分所有者にこういうふうに言うんだろうな」と聞いてみた。
バカか。
すると、彼らは「あははははー」と笑って「言えるわけないでしょ」と。
そしてオレに向かってこう言った。
バカか。
結局、この台風騒ぎのときも、法的には単なる受託者に過ぎない管理会社のみなさんが、朝に夜に壮絶な努力をして、早急に復旧して差し上げた、らしい。

そんな区分所有法が改正される

これは今朝(令和6年1月17日)の新聞やニュースで話題になっていましたので、目にした方もいらっしゃると思います。
NHKのサイトより
背景はマンションの老朽化。
老朽化には2つの意味があって、物件の老朽化と、住民の老朽化。
「2つの老い」なんて言ったりすることもあります。
ここで問題です。
Q:賃貸マンションが老朽化したらどうしましょうか。
賃借人に退去してもらって、貸主がぶっ壊せばいい。更地にして土地を売って巨万の富を得てもいいし、また賃貸マンションを建てて収益を狙ってもいい。
Q:分譲マンションが老朽化したらどうしましょうか。
建て替えます。
どうやって?
分譲マンションって、外から見れば一つの建物だけど、中はどうなっているかというと、私的所有権の山。部屋ごとに所有者がいて利害が錯綜する。タワーなんかだと1,000世帯もあったりするもんだから、たいへんだ。
なので建て替えるって言ってもね。
けっこうめんどうなことになるわけです。
じゃあ、ぶっ壊して更地にして、それを売っぱらってみんなで代金を山分けけようぜ。
あ、いいねいいね。
・・・どうやって?
マンションをぶっ壊すって言ったってね。
けっこうめんどうなことになるわけです。
これが賃貸だったらお互い楽ちんなのにね。
賃貸だから、住んでいる人は家賃を払うけど、でも、それ以上のゴタゴタには巻き込まれない。
もちろん「家賃がもったない」とかなんとか、そういう判断もありです。
で、所有したらしたで、こんどは自分の所有物なのに、自分の一存じゃどうにもならない状況に巻き込まれる。
なんていうか、他人の塊というか、実態がよくわかならい総体に、つまり、分譲マンションという“しがらみ”に、運命を委ねる。
なので、どっちもどっち、という気もしますよね。
ちなみにですが、国交省によると、築40年以上の分譲マンションは2042年末に22年末の約3.5倍となる445万戸に増加する見込みだそうだ。
となると、いまが旬とばかり、人気を背景に高値を“謳歌”している分譲マンションですが、老朽化は否めない。なので、歯車が一気に逆回転しはじめたら、どうなる??
今回は以上です。
区分所有法の改正の動きがありましたら、また記事にしてみます。
最後までお付き合いくださいましてありがとうございます。