【宅建ダ】1972年の日本列島改造論。宅建講師だったら読んでみてはいかがでしょーか!

たしかにだよ、たかがね、大澤先生(←そのころはこう言われていた)がやっている宅建受験講座だとしてもね、そこで都市計画法とかを講義する以上、つまりだね、日本列島という国土をベースにしての都市計画なんだからさ、やっぱり、この「日本列島改造論」で展開されているアイデアが話し手の講師本人のカラダに入っているかどうかで、そりゃさ、講義のコクっていうのが違ってくるっていうもんよ。
・・・と、当時、オレの受験講座(夜クラス)に来ていたアル中のおっさんに言われたのが平成元年(オレのデビュー年)だから、からこれ30年以上も前になりますな。
このおっさん、すげーんだよ。
講義が始まる直前に、缶ビールのロング缶を2本、プルタブをプシュっとやって一気にグビグビと飲み干してから、手のひらで顔をパンパンと叩いて、「よし、やるかっつ」と自分で自分に気合を入れるのが常だった。
今にして思えば、高見盛みたいだ。
最初、他の受講生は戸惑っていたんだけど、このおっさん、喋りかたが寅さんに似てたので、そのうち人気者になっていった。
そうこうするうちに、このオッサンを真似て、授業中缶ビールを飲み始める人が5〜6人いるようになって、となると授業の最後のほうはクラス全体が酔っ払ったような騒ぎになって、けっこうおもしろかった。
このおっさん、宅建試験に合格したときに「ほら先生、とっておきな、お礼だよ」とポンと10万円くれた。
自分より年上の男性が嫌いなオレ(いまだにね。最近は同世代のおっさんもめんどくさくなりつつある)だが、このおっさんのことは好きだったので、そのとき、自称:人気宅建講師をやっていた某大手専門学校が古本の街「神保町」にあったので、その翌日くらいだったかな、ぶらっと行って買ってきた。
なんかそんときは、けっこう古本屋で見かけたんだけどね。
もうあんまり売ってないのかな。
おっさんの言ってたとおり、ほんとにおもしろかった日本列島改造論。
当時25歳のオレには、新鮮な刺激たっぷりでした。
いい本を紹介してくれて、おっさん、ありがとう。
あれから30年以上です。
なので、おっさんももう死んじゃったでしょうね。
で、なんでそんな話を思い出したのかというと、日本列島改造論をベースにした新刊を書店で見つけたので、「おー!!!」と思って買って、で、日本列島改造論を読み直してみようかと。
彼女ら若い衆(粋に「わけーし」と呼んでね)に「日本列島改造論って知ってる?」と聞いても、ひのきPを除いて(←なぜならば、オレが年がら年中騒いでいるからだ)知らないだろうしね。
なので、今般、「忘れじの日本列島改造論をもう一度読み直して味わおう会」を結成することにしました。
入会要件は、宅建講師稼業を生業としていて、日本列島改造論を持っていること。
募集したらさっそくお一人がご参加くださいました。
こちらの方です。
宅建を受験してみようかなーとお考えのおっさんは、彼女のクラスにぜひ。
おっさん大歓迎だそうです。
有山あかね先生(このブロクではAKN嬢)
https://www.lec-jp.com/takken/reason/teacher/detail/ariyama_akane.html
でね。
とはいえ、みなさん日本列島改造論をお持ちでないでしょうから、折を見て(←気が向いたときという意味です)、この本にはどういうアイデアが盛り込まれていたのか、ちょこちょこご案内してみようかと。
たとえばね。
「序」にかえてから、引用してみます。
農村から都市へ、高い所得と便利な暮らしを求める人々の流れは、今日の近代文明を築き上げる原動力になってきた
ところが、昭和30年代にはじまった日本経済の高度成長によって東京、大阪などの太平洋ベルト地帯へ産業、人口が過度集中し、わが国は世界に類例をみない高密度社会を形成するに至った。
明治百年(注:昭和43年ごろ)をひとつのフシ目にして、都市集中のメリットは、明らかにデメリットへ変わった。
国民がいまなによりも求めているのは、過密と過疎の弊害の同時解消であり、美しく、住みよい国土で将来に不安なく、豊かに暮らしていけることである。
そのためには都市の集中の奔流を大胆に転換して、民族の活力と日本経済のたくましい余力を日本列島の全域に向けて展開することである。
工業の全国的な再配置と知識集約化、全国新幹線と高速自動車道の建設、情報通信網のネットワークの形成などをテコにして、都市と農村、表日本と裏日本の格差は必ずなくすことができる。
・・・・これって、いまの話ですかー(笑)
一極集中がどうしたこうした、「密」がなんだかんだという大騒ぎとともに、地方がどうした過疎がどうした限界集落があーだこーだ、そんな騒動がいまだにありますけど。
あ、ここで注目してもらいたいのがこれ。
「情報通信網のネットワークの形成」
この本が出たのか、50年前でしょ。
そのころ、ネットというものは、姿かたちもなかったはずだ。
せいぜい電話かな。
パソコンすらない時代だしね。
そんな時代にさ、いまが盛りのネット社会のことを、盛り込んで書いてあるんですわ。
いまだったら「情報通信網のネットワークの形成」って書いあれば「はいはい、そりゃそうですが、で?」みたいな感じなんだろうけど、当時の人たちにしてみれば、なんの話なのかさっぱりわかんなかったかもしれない。
あとですね、日本列島改造論のすげーところは、数字をつかった説明(比喩)がものすごくわかりやすいところ。
たとえば33ページから引用してみますと。
「人口の32%が国土の1%に住む」という見出しで、
東京・日本橋の道路原標(元標)にコンパスの針を置いて、半径50キロメートルの円を描き、同様に国鉄の大阪駅、名古屋駅を中心に半径50キロメートルの円を描いてみよう。
東京では神奈川県の茅ヶ崎、茨城県の龍ケ崎、大阪だと兵庫の明石、滋賀県の大津、名古屋では関ヶ原、愛知県蒲郡までがそれぞれ円のなかにはいる。
昭和45年の国勢調査によると、この三大都市の50キロ圏に3,300万人の人が住んでいる。国土面積のわずか1%にすぎない地域に日本の総人口の32%が集中している勘定だ。
・・・・この「勘定だ」という表現がいいっすね。
最近はあんまり見かけないかな。
ちなみに、日本橋の道路原標(元標)。
モニュメントはこちら
ホンモノの道路原標は橋の上のド真ん中にある。
そんで、こう続く。
せまい国土の100分の1に満たない地域にスペインに人口と同じくらいの人間が集まっているのだからデメリットが生じないほうが不思議である。
たしかに。
ここですげーなと思ったのはスペインを持ってきたところ。
よく知らないし。
でも、だからこそ、なんだかすごいことになっているっぽい話にも思える。
ちなみにスペインなんですが。
50.6万平方キロメートル(日本の約1.3倍)
約4,708万人(2020年1月)
「日本列島」はこうです。
37.8万平方キロメートル
約1億2700万人
そんでね。
内閣府で「新しい資本主義」というのを掲げているでしょ。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/pdf/ap2022.pdf
「デジタル田園都市国家構想の推進」というのがあります。
抜粋引用させてもらいますと・・・
Ⅴ.経済社会の多極集中化
デジタル田園都市国家構想の推進により、一極集中から、多極集中への転換を図る。
新しい資本主義の象徴は地方・地域である。これまで、我が国の経済社会は、人々の暮らし、企業活動、国土形成等において一極集中を進めてきた。日本では、総人口のうち、50万人以上の大都市に住んでいる割合が73%にのぼり、65%の米国、56%の英国など欧米各国を上回り、大都市に人口が集中している。
しかしながら、コロナの拡大は経済社会の分極化の重要性を再認識させた。コロナ禍以降、大都市において、都心部から周辺部へ人口が移動し、地方移住への関心が高まっている。特に、20代や30代の若者層の関心が高い。理由としては、自然豊かな環境に魅力を感じたこと(31.5%)に加え、テレワークによって地方でも働けるようになったこと(24.3%)を挙げている。
・・・なんか、日本列島改造論の趣旨と同じようなことを言っている気がする(笑)。
っていうか、課題はいつも変わらないというか、もしかしたら、そもそも永遠に解決できないテーマかもしれないっすね。
なので、「過去に言ってたことを表現を変えて、繰り返し言い続ける」っていることにならざるを得ないのかもしれません。
あれ?
これって、「宅建試験」と似てませんか?
「宅建試験は、過去に出題された内容が、表現を変えて、繰り返し出題され続けている」
いえーい〜\(^o^)/
今日の動画
▼問10解説【夏から宅建】宅建合格応援企画「よく出る問題333」
今日の動画は、事件が起こります(笑)