【宅建ダ】ヤバくね?コンクリート剥落の手抜きマンション。ゼネコンは損害賠償責任なし?

今回のテーマは「不法行為」です。
内容は合格者向けかな。
合格ダイナマイターズのみなさん、さぁ、不法行為の項目を思い出されよ〜ww
でね、そしたらこちらの記事を
2022年(令和4年)12月26日(月)産経新聞
手抜き工事20年経てば修繕不要か
三重のリゾートマンション、「責任消滅」主張のゼネコン提訴へ
https://www.sankei.com/article/20221225-AIOBVB2HPBKMFCSMA36LZF3NY4/
平成9年竣工のリゾートマンション。
記事を引用しますと・・・
管理組合によると、施工不良は竣工4~5年目で発覚した。鉄筋を覆うコンクリートの厚さが建築基準法施行令の規定より薄い「かぶり厚さ不足」で水分が鉄筋に浸透。さびて膨張した鉄筋が表面のコンクリートを押して剝落する「爆裂」現象が、廊下やベランダの天井などに相次いだ。
ヤバくね?
そんで・・・
剝落は令和2年ごろから再び相次ぐ。昨年7月には一室のベランダで、天井から重さ約1.5キロのコンクリートの塊(縦約20センチ、横約50センチ)が鉄筋もろとも崩れ落ちた。組合の松浦潤也理事長(48)は「大けがをする人が出るところだった」と語る。
で、ゼネコン側はどうしたかというと、建設時の施工不良を認めたとのこと。
まぁそうでしょうね。
だがしかし。
これで解決かと思いきや・・・
修繕費用の負担を拒否。
なんだなんだ!!
彼らの言い分はこちら。
修繕費用の将来負担を拒否した主な法的根拠は、旧民法が定める「除斥(じょせき)期間」の適用だ。平成9年の竣工、引き渡しから除斥期間の20年が過ぎており、組合側の賠償請求権はすでに消滅したと主張。
でました「除斥期間」。
除斥期間とはなにかというと、時効期間とは異なり「完成猶予」とか「更新」はなく(認められず)、時間の経過で請求権が消えるというもの。
つまり20年が経過しちゃったんで、はいおわり。
・・・という主張なわけです。
ちなみに旧民法の条文はこんな感じ。はっきりしないのです。
724条(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)
不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。
「3年間行使しないときは、時効によって消滅する」というのはいいとして、後段の「不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする」とあって、この「二十年」というのは時効期間なのか除斥期間なのか。
判例では除斥期間だと。
最高裁は「被害者の認識のいかんを問わず一定の時の経過によって法律関係を確定させるため請求権の存続期間を画一的に定めたもの」として、つまりは除斥期間だと。(最判平成元・12・21民集43巻2209頁)
まぁそういう考え方もあるんでしょうけど。
でもね。
被害者救済の観点からちょっと問題があるんじゃないの(はからずも今回のような)という指摘もあって、現在、どうなったかというと、以下。
新民法
第724条(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
1 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。
2 不法行為の時から二十年間行使しないとき。
すっきりしました。
期間を除斥期間ではなく時効期間としました。
結果、いまであれば時効の完成猶予や更新も可能となりました。
めでたしめでたし。
・・・じゃなくて、今回の記事の案件、すなわち「旧民法(除斥期間)」でのすったもんだ、どーすりゃいいんでしょうね。
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