【宅建ダ】質問:誰も相続しないマンションの空き部屋(専有部分)はどうなるんでしょう?

誰も相続しないマンションの空き部屋(専有部分)はどうなるんでしょうか?
・・・どうなるんだろうね?
えーと、そういえば、なんか書籍で、読んだな。
と、思い出し、帰宅後、ごぞこそ探したら、ありました。
「生きのびるマンション 〈二つの老い〉をこえて」山岡淳一郎著/岩波新書
ちなみに〈二つの老い〉とは、「建物の老朽化」と「住民の高齢化」です。
なかなか、うまいことをいいますな!!
みなさんも重々ご承知のとおりですが、マンションは区分所有者全員で構成される管理組合が維持管理の主体なんだけど、まーほんと、住民のみなさんはマンションの維持管理に無頓着だし無責任だし。
なので、他人まかせで自分ごととしては考えない。
ま、それはそれとして、さきほどの「誰も相続しないマンションの空き部屋(専有部分)はどうなるんでしょうか?」についてだが。
この書籍の「まえがき」にさっそく記述がありましたので、以下、引用します。
居住者が亡くなった後、持ち主が判明しない空家は、管理組合の重荷に変わります。
手を尽くして相続人を探し、いなければ裁判所に「相続財産管理人」選任の申し立てをします。
その相続財産管理人と管理組合が話し合って手続きを踏み、空室を競売にかけて滞納された管理費などを回収しなくてはなりません。
・・・とあります。
なるほどですね。
そもろも、管理費や修繕積立金もすげー滞納額になっているんだろうし、その滞納額は空き部屋を競売で落札した人が払うことになっちゃうのが区分所有法のルールだし、なのでその額を見越しての落札ということで、めんどくさそうだ。
どうなんだろ、そもそも競売に参加する人(落札する人)っているのかな。
競売に参加する人(落札する人)がいなければカネにならないので、「滞納された管理費などを回収」ということもおぼつかない。
そして、この書籍ではこう続く。
これが一筋縄ではいかないのです。
遠方の相続人との交渉がもつれ、気が遠くなるような負担を強いられます。
つまり、マンションの相続困難な空き家は、一戸建てと異なり、管理組合を財産処分の渦に巻き込むのです。
驚いたことに住宅政策がもたらした空き家問題の受け皿が、マンションに関しては住民で構成する管理組合しかありません。
相続困難な空室は、今後、社会の超高齢化に伴い、間違いなく増えていくにもからわらず・・・。
なるほどですね。管理組合っていったって、単なる住民の団体だしね。
そんな管理組合が、法的には管理の主体ということなんだけど、そのことをあんまり理解していない人もいるみたい。
そういえば、もう10年くらい前になるけど、某大手専門学校で「マンション管理士受験講座」の講師をやってたときも、そんなマンション系の国家資格を勉強しているのにもかかわらず、そのあたりをよく理解していない受講生がけっこういた。
「管理会社がなんとかしてくれるんでしょ」と思っていたみたいでしたよ彼らは。
でもしかたないのかも。
マンションを販売するとき「マンションを買ったら管理組合の一員にもれなくなります。なのでマンションの維持管理の責任は購入者のみなさんにあります」とか言わないしね。
あ、そんなこと言っちゃったら「ホテルライク(他人任せ)な、快適なマンションライフ」みたいなことが謳えなくなっちゃうので、ちょっとアレか。
ちなみに、どれくらいあるんだろ、マンションの空き家って。
書籍から数字を引っ張ってみますと
「マンション総合調査(2018年度)」による「所在不明・連絡先不通の戸数割合」から。
ちなみに「所在不明・連絡先不通」とは、マンションで用意されている(はずの)区分所有者名簿でも持ち主がわからなかったり、判明した(名簿に載ってた)としても連絡がつかなかったり。
当然ながら、管理費や修繕積立金は「滞納し放題状態」だろうしね。
そんな空式があるマンションは3.9パーセントだそうです。
もちろん築年数により、つまり古ければ古いほど、パーセントは高くなる。
築40年を超えると13.7パーセント。
こんなとんでもないマンションも。
書籍から引用させてもらいますと、
総戸数に対して「所在不明・連絡先不通」が2割以上の「お手上げ」状態のマンションが、築年数40年超では5.3パーセントに及ぶのです。
とのこと。
やべー。かなりやべー。
激安だからといって、そんなのを買って、で、そんなマンションの住民になって、つまり管理組合の組合員なんかになっちまったらたいへんだ。
なので、もしかしたらそのうち、宅建業法の改正で、分譲マンションの場合の重要事項として「所在不明・連絡先不通」のパーセントとかを説明せい、みたいなことになるやもしれませんね。
・・・ということで
築古の中古の購入をご検討中のみなさん、いろいろ考えてから決断しましょうね。
・・・と、すみません、最後の一文、事実上、なにも言っておりません(笑)