【宅建ダ】夏休みに遊びに行けない都会のビンボー人であるオレは大手町の森で涼を取るのだ

Tokyo界隈もきょうはちょっと夏っぽくなって、うれしい。
そんな夏だが、夏休みにお出かけできない都会のビンボー人は、都会の森で涼を取ろう。
じつは都会のど真ん中に、まさに都会のなかの都会、泣く子も黙るかもっと泣くか知らんけど、大手町駅直結の「森」がある。
大手町の森です。
この時期、ちょー気持ちいいよね〜!!!
すごいねー、都会のど真ん中に、こんな自然があるなんて!!!
・・・そんな自然なんてあるワケねーだろっ〜
もちろん人工で、ある企みによって作られたのでした。
企みといってはアレだから、都市計画と言おうではないか。
ちなみに界隈には、どどーんと超高層タワーが立ち並ぶ。
超高層タワーを建てていいけど(容積率を緩和するけど)、敷地内に公開空地を作ってね。
よくあるバーターっすね。
なので超高層タワーのお膝元に、こんな「森」があるのであった。
賢明なる読者諸兄姉(←ちょっとむずかしい言葉を使ってみたくなった。どくしゃしょけいしと読む)はすでにおわかりかと思うが、ふつうの容積率制限だとこんな超高層タワーが林立するワケがないんだから、いったいここには何が指定されているのだろーか。
特定街区か?
高度利用地区か?
高層住居誘導地区(←今回は大手町なので住居は誘導しないよね)か?
特例容積率適用地区か?
まぁこのあたりだと、そこらへんで売っている宅建本にも載っていると思うし、過去試験でも「特例容積率適用地区」を除いて出題されているから、まぁなじみもあろう。
ところがね。
ここは隠し玉というか、へーそんなのあるんだ的な別の企み(都市計画)なのだよ。
というのもね、いままでの宅建試験では出題されたことがないから、そこらへんで売っている基本テキストには載っていないと思うのだが。
あ、そうそう、ウチの市販教材も含めてだが、たまにノンキな人から「宅建の基本テキストで過去に出題されている項目ははどれですか?」という、質問だか相談だかよくわからない問い合わせをいただくこともある。
あのですね、ウチのも含めてね、過去に出題されている項目をピックアップして基本テキストは作られているのですよ。
過去に出題されているから、基本テキストに載っている。
こういうふうにご理解ください(←出た、ご理解ください攻撃ww)。
とはいえ、テキストに載っている話(内容)がぜんぶ出題されるわけじゃないから、そのなかで、今年はどれが出るか、つまり出題予想だが、これはもう宅建講師の予想屋としての力量次第だ。
賢明なる受験生諸兄姉のなかで、どうしてもオレの予想を知りたい方には、お金を払ったら教えてあげます商売だからね。
ぐはは〜\(^o^)/
あ、そんでな。
ここ「大手町の森」界隈での企み(都市計画)はこれだ。
『都市再生特別地区』
コジャレ過ぎてて、とても読みにくい看板だ。
透明なので向こうが見えちゃっているので、こいうのを女性のファッション雑誌では「抜け感」というんですよね。
・・・たぶん、ぜんぜん違う。
ぐはは〜\(^o^)/
マヌケ感っすね。
あ、そんでな(←本日2回目・笑)
『都市再生特別地区』とはなにかというと。
えーと、ちょっと過去を振り返りますが、小泉内閣あたりだったと思うけど、景気対策だったのか欧米の建設業者を国内に入れようとしたのか(いわゆる黒船っすね)、いまとなってはアレですけど、やたらと容積率緩和系の施策を打ち出していたでしょ。
容積率を緩和するから超高層タワーをどんどん建ててー!!!
タワマンもどんどん建った。そろそろ大規模修繕の時期かな。っていうか大規模修繕できるのかな。できるんだろうなきっと。いくらかかるんだろ。そんでいずれ老朽化したら建替えかな。建替え決議なんてできんのかな1,000世帯以上いて。5分の4決議なんてとれんのかな・・・
・・・あ、余計なお世話っすね。あはは。
そんときのノリの一環で、『都市再生特別措置法』というのが誕生して、その措置法で「都市再生緊急整備地域内」というのを指定して、その地域内で都市再生のために高度利用を図る地区として『特別再生特別地区』というのがある。
それがここ。
結局のところ、敷地にドドーンと超高層タワーを建てさせる企てなんだけど、まぁこのあたりは、高度利用地区や特定街区のしくみと似てます。
いずれにせよ「一定規模の敷地で、特別に容積率を緩和するから、フルスペックでタワーを建ててね」ということしかないもんね。
さっきも言ったけど、容積率をオマケしてあげるから、敷地内に公共空地を作ってね、というのがバーター。
それで作られたのが、「大手町の森」というワケだ。
で、いろんな都市計画があるけど、なにが違うかというと、特別に容積率を緩和する大義名分。
言い訳ともいう。
たとえば、昨日のblgoで取り上げた高度利用地区の大義名分が「土地の高度利用と都市機能の更新」であった。
では、都市再生特別地区にはどんな文言(大義名分・言い訳)が入っているでしょうか。
都市再生特別措置法
(都市再生特別地区)
第36条 都市再生緊急整備地域のうち、都市の再生に貢献し、土地の合理的かつ健全な高度利用を図る特別の用途、容積、高さ、配列等の建築物の建築を誘導する必要があると認められる区域については、都市計画に、都市再生特別地区を定めることができる。
「都市の再生に貢献し」というが大義名分として入っているね。
そんでね。
『都市再生特別地区』での都市計画で定める事項
①誘導すべき用途
②容積率の最高限度(400%以上)及び最低限度
③建蔽率の最高限度
④建築面積の最低限度
⑤高さの最高限度
⑥壁面の位置の制限
これらを特別に定める。
そんでね、都市再生特別地区では以下が適用除外となる。
・用途地域及び特別用途地域による用途制限
・用途地域による容積率制限(上限撤廃)
・斜線制限
・高度地区による高さ制限
・日影規制
・・・と、こんな感じです。
なので、都市再生特別地区内においては、建蔽率や容積率などの制限は、都市再生特別地区に関する都市計画において定められた内容に適合しなければならないということになる。
「用途地域及び特別用途地域による用途制限」とかが適用除外となっちゃうのが、高度利用地区のしくみとちょっと違うかな。
いちおう調べてみたらね、こんな流れでのプロジェクトだったみたい。
2007年8月:『都市再生特別地区』の都市計画決定
2009年4月:東京メトロ東西線大手町駅改良着工
2009年11月:大手町タワー着工
2013年8月:大手町タワー一次竣工
2014年4月:大手町タワー全体竣工
あ、そうそう。
大事なことを忘れてた。
この『都市再生特別地区』なんだけど、都市計画決定にあたり、じつは、大手デベロッパー(大手不動産会社)の事業計画ありきなんです。
ここに超高層タワーを建ててビジネスしますのでのでお願いしまーす。
はぁーい。
・・・みたいな。
意外といいかも。
まさに「ザ・ご都合主義」の頂点を極めているような話で、じつにすがすがしい。
国土交通省のホームページにも、ま、さすがにご都合主義でーす、みたいなことは書いてないけど、こんなふうな言い方。
▶ https://www.mlit.go.jp/toshi/crd_machi_tk_000009.html
都市計画等の特例
民間の資金やノウハウを活かした都市開発を誘導する観点から、既存の用途地域等の都市計画に基づく規制を適用除外とした上で、自由度の高い計画を定める 都市再生特別地区、民間事業者等による都市計画の提案制度があります。
「民間の資金やノウハウを活かした都市開発を誘導する観点から」
・・・なるほど、こう書くと、なんかそれらしいというか、もっともらしく聞こえますね。
ということで、大手デベロッパー(大手不動産会社)の事業計画ありきで都市計画決定されるため、事業途中の段階で『都市再生特別地区』の物件が取引の対象となることは、事実上ない。
そんで、『都市再生特別地区』で完成したタワーとかが売買の対象となることもない。
あるかもしれないけど、事実上、ないでしょ。
だって、はじめに大手不動産会社の思惑(儲け話の計画)があって、それで国が容積率を緩和しちゃって、かっちょいいタワーを建てて、「すごいすごい」という感じで人気が出て、となるとビジネスでの賃貸収益とか店舗展開とかで、あっはっは、ガッポガッポ儲かるぜ、みたいな。
ということで、えーと、すみません、長々と書きましたが、ふつうの宅建士が『都市再生特別区』にある物件と実務上遭遇することもないので、宅建試験にはおそらく出ないのであろう『都市再生特別地区』でございました。
そんな「大手町の森」だけど、こんどみんなで行ってみようぜ。
今日の動画
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